『こんな夜には c/w 最新マシンを手にした子供達』

『こんな夜には c/w 最新マシンを手にした子供達』ライナーノーツ
2017年10月20日 DaisyMusic

　佐野元春がセルフ・カバーアルバムをレコーディングしていると伝えられたのは夏頃、ちょうど新作「Maniju (マニジュ) がリリースされる前後だった。本人は年内にはリリースできるだろう、と言っていたが、アルバムに先行してまずはシングル曲のリリースとなった。

　ここに収録されたのは『こんな夜には』、カップリング曲には『最新マシンを手にした子供達』。いづれもニューオリンズやブルースなど米国のルーツ音楽に根ざした本格的なバンド・サウンドだ。

　バッキングはザ・ホーボー・キング・バンド。90年代に佐野のバッキング・バンドとして名を馳せた一級のミュージシャン達によるグループ。メンバーは、キーボード／Dr.kyOn、Bass／井上富雄、Drums／古田たかし、Guitar／長田進。

　かつて佐野元春 & THE HOBO KING BANDは、結成当時の1996年、米国ウッドストックに渡り、ザ・バンドなどのプロデュースで知られるジョン・サイモンを迎えて一枚のアルバムを作った。アルバム「THE BARN」だ。ゲストにザ・バンドからガース・ハドソン、ラヴィン・スプーンフルからジョン・セバスチャン等が参加したオルタナ・カントリーの名盤。佐野がこのアルバムで提示した70年代米国音楽への深い知識と愛情は、そのまま今回の新作へと引き継がれている。

　ちなみにアルバム「THE BARN」は今年でリリース20周年を迎え、現在アニバーサリー・エディションの企画が進行中とのこと。未発表の音源などあればぜひ期待したい。

『こんな夜には』
オリジナル収録アルバム：バック・トゥ・ザ・ストリート（1980）
オリジナルのタイトルは『夜のスウィンガー』。新作ではリリック、編曲ともに大きく変更を加えている。

『最新マシンを手にした子供達』
オリジナル収録アルバム：スウィート16（1992）
オリジナルのタイトルは『ポップチルドレン - 最新マシンを手にした陽気な子供達』。新作では最高のブルース・ロックに形を変えた。

　ファンクラブ会報のインタビューではアルバムのリリースは来年とのこと。コヨーテ・バンドとの活動と並行して、ホーボー・キング・バンドとの動きもファンにとってはたまらなくうれしい。

　2018年もまた佐野元春の動きから目が離せない。