いったい全体アンタはオレをどうしたいんだ
DANCES WITH WOLVES/柴口勲

 いったい全体アンタはオレをどうしたいんだ。なぁオレはコヨーテなんだよ、アンタ何年か前にオレのサウンドトラックを置いてったきり消息不明のままだったじゃないか!もーオレん中でもうアンタは高みに達したんだよ、そう、それより上は空だったんだ。なのになぜ、また帰ってきた?傘をパラシュートにこんな素敵なアルバムを抱えて空から降ってきやがって!アンタのその「やぁ元気?」って顔を見たとき思わずオレは飲みかけのココアを吹き出したから、中学生の娘に笑われたじゃないか!

 それでアンタはオレをいったい全体どーしたいんだ。まさか今更、ポストを開けたときに朝刊の配達人に感謝しろと?まさか今更、弁当のフタを開けたときに「いただきます」と手を合わせろと?まさか今更、帰路の道で人目はばからず口笛吹いて歩けと?まさか今更、先に眠っている子供の寝顔にキスしろと?…チクショウめ、それなら今日一日でもうとっくやったよ。あーそうさ、『ZOOEY』とやらに、真っ赤なその命とやらに背中を押されたんだよ!

 自分を信じて負けないでいよう、と思ってた。『COYOTE』を聴いてから5年近くずっとだ。でももうそうじゃない。あぁ、負けてもいい、誰かを愛していようと思ってるじゃないか!

 でもいっとくが、アンタを神だとか崇めてるワケじゃないゼ。崇拝してたまるか、だってアンタはどこへ行ってどっちを向いていようと所詮オレのダチなんだ。言い換えるなら影、コイツは光ある限りオレの足もとから引きはがせない。だから忘れんなよ。オレにアンタがいるようにアンタにオレがいるんだってことを。かまわないゼ、存分に歌うといい。