THE MILKJAM TOUR '03
日付/会場:2003/07/03 福岡市民会館
お名前:Beat goes on...
投稿日:Wed, Oct 29 2003 00:06:13 JST
THE MILK JAM TOUR '03
7/3(木) 福岡市民会館大ホール 開場 18:00/開演 18:30予定

2003年7月3日、木曜の午後、大分市の天候は曇り。そう、今
日は、5月30日の神戸ライヴに続いてイカした奴らとの再会の日
である。睡眠時間をたっぷりととった俺は、朝食と昼食を一緒に採
って、午後12時過ぎに大分駅に向かう。午後13時15分発のソ
ニック30号に乗って約2時間で目的地の博多駅に到着した。博多
駅を出ると"祇園山笠の飾り"が俺を出迎えてくれた。2年前にZEPP
福岡で行われた"Rock & Soul Review"ツアーのときを思い出した。
あの時はとにかく暑かったな。でも今日は曇りで、そう暑くもない。
これまで福岡のホールでのライヴと言えば、福岡サンパレスであっ
たが、今回は福岡市民会館である。どうやってそこを目指せばいい
のか分からないまま、取り合えず地下鉄で天神までたどりついた。
地上に出ると空模様が怪しい。取り合えず北を目指して歩き始めた。
途中で大手のレコードショップを見つけたので寄り道をして時間を
潰した。大分の店では入手できなかったFleetwood Mac の最新のア
ルバム「SAY YOU WILL」をゲットして店を出ると路面が濡れている。
雨が降っていたようだが、やんでいた。再び北を目指して歩くこと
20分あまりで福岡市民会館前に到着した。観客らしい人はまだ誰
もいない。開場まで1時間半もある。30分くらいボーとしていた
が、近寄って話しかけてくるのはダブ屋の人たちばかりでウンザリ
した俺は目の前にある県美術館に避難した。喫茶店で軽食でもと思
ったが17時でオーダー終了とのことでアイスコーヒーのみを頼ん
で、ロビーの椅子に座って時間を潰した。隣には、浴衣を着た2名
の女性がいて、佐野さんの話しをしていた。今夜のライヴに参加す
るんだろう。浴衣で佐野さんのライヴなんて、とっても洒落ている
なと思った。

さて、時も流れ、開場15分前に市民会館の前に行くと沢山の人が
いてビックリ。きっと九州各地から、そして全国の遠くから"訪問"
してきたんだろうなぁと感慨にふけていた。予定通り18時丁度に
開場。会場内では佐野さんが選んだと思う洋楽の曲が流れていた。
「Set me free」 というフレーズの曲が気に入った。神戸ではツア
ーパンフレットを購入したが、まだ見ていない。ツアー終了後の楽
しみとして我慢している。今回は「ジャミングバンダナ」のみを購
入した。
座席は1階13列46番。神戸のときと同じような位置であった。
開演予定時間直前に席につくと見慣れた親子がこちらを見て手を振
ってくれているのに気が付いた。神戸でも会えた「もと龍さの」く
ん親子だった。早速、私の方から挨拶に出向いた。開演前だったの
で、積もり積もった話はできなかったのは残念だったけど、元気そ
うだったので安心した。ライヴ前にいろいろとあったからね・・・。
さて、ライヴレポートに戻ろうか(汗)。

(18時41分開演)
開演予定より11分遅れて佐野元春を除くThe Hobo King Band(以
下HKB)のメンバーが登場してきた。今回も5名のメンバーは手
にフルートを持っていた。会場は一気に盛り上がり、立ち上がる。
それぞれの衣装は、山本拓夫さんが、凄く派手なシャツに黒のスー
ツで、メガネも茶色っぽいレンズでフレームもお洒落だった。ドク
ターKYONさんは、帽子を被ってなかったがサングラスをかけて
いた。古田たかしさんは、赤い帽子を被っていた。井上富雄さんは、
ジーンズっぽい衣装だったかな。佐橋佳幸さんは、迷彩の柄の服だ
ったかな。

●ホーボーキングバンドのテーマ'03(仮称)

KYONの合図で演奏が始まった。もう聴きなれたインストルメン
タルのごきげんなメロディのナンバーだ。山本拓夫のサキソフォン
の音色がとても心地よい。演奏の終了間際にバンドマスターでもあ
るKYONが叫んだ。『The Hobo King Band!』

●COMPLICATION SHAKEDOWN 〜from【ビジターズ】

続いて、聴きなれたイントロだ。おぉ、今日はこの曲から始まるん
だと思いつつ佐野元春の登場を待つ。トミーのベースの音がズンド
コと響いてくる。暫く演奏が続いて、佐野元春が登場した。佐野さ
んは、赤系の細かいチェックのシャツと黒のパンツという出で立ち
だった。会場からは「元春!」「佐野さん!」「ヒュー・ヒュー」
など既にヒートアップ状態。この曲はツアーごとにアレンジされて
きたが、今回の演奏はオリジナルのHKBバージョンであった。
19年前の初ライヴのビジターズツアーにタイムスリップした感覚
になった。神戸では演奏されなかったのでとても嬉しかった。
「すべての使い古されたブーツ 窓から投げ捨て
 新しいマッチに灯をともして・・・」の歌詞が彼のメッセージだ。
曲の最後は、ガラスが割れるレコードと同じ音であった。

●WILD ON THE STREET 〜from【ビジターズ】

続けて演奏されたのもアルバム「ビジターズ」からのナンバーだ。
この曲もオリジナルアレンジの演奏でHKBバージョンであった。
「たいくつなピンポン続けたくない・・・蹴り飛ばしてシュート!」
で元春は右足を高く振り上げた。凄い、19年前と同じだ。
間奏部分で元春はスティックで何かを叩く。まるで世の中の全ての
よくないものを"退治"しているかのように・・・見えた。

●COME SHINING 〜from【ビジターズ】

3曲目もアルバム「ビジターズ」からのナンバーであった。
この曲もオリジナルアレンジの演奏でHKBバージョンであった。
「誰もがHigh・・・」で右手を高く上げていた。
「ビートは続いていく・・・」
「Baby Baby YoYoYo」の後の間奏の部分で、コロちゃんが何かの道
具を使って「ワォーワォーワォー・・・」のハーモニカに似た音を
奏でていた。The Barnツアーでもやっていたと思う。演奏終了後に、
元春は、ペットボトルの水を手に持ってマイクに近づき、
『どうもありがとう。こんばんは、福岡!』と元春の挨拶とMC。
『この街で演奏できて嬉しいです。呼んでくれてどうもありがとう。
外は雨模様のようだけど、この中はカラットしよう!』(会場拍手)
元春は、人差し指と中指で「敬礼」のポーズをした。
結局、ペットボトルの水は飲まなかった(笑)。

●VISITORS 〜from【ビジターズ】

4曲目もアルバム「ビジターズ」からのナンバーであった。
この曲もオリジナルアレンジの演奏でHKBバージョンであった。
おいおい、ここは福岡だけど「ビジターズ」丸ごとセットリストを
やってくれるのかなぁと期待が膨らんだ。
「闇と光がひとつに結ばれるまで」が彼からのメッセージだと思う。

●フィッシュ(新曲・仮称) 〜from【ニューアルバム】

『どうもありがとう!』と会場にお礼をした後に、
元春口調で『The Hobo King Band!』と両手を広げてバンドのメン
バーを誇らしげに紹介する。その後に、ニューアルバムの話しに。
『僕達は新しいレコードを作っています。もう2年くらいやってい
るんですけど。』(会場爆笑)『そろそろ今年はきちっとまとめて
リリースしたいと思っている。どうなるかわからないけど。』(会
場拍手)『今回のTHE MILK JAM TOURではその中から何曲か聴いて
もらっています。1曲聴いてください。曲のタイトルはまた変わる
かもしれないけど、この場では「フィッシュ」ということにしてお
こう!』
演奏が始まって神戸で聴いた曲と同じだと解った。「気のふれた闇
の中をくぐりぬけて・・・光の導くままに」という歌詞が印象に残
っている。おそらく"心に痛みを抱えた人達"に対して書いた曲であ
ろう。間奏中に『Beat goes on , Stand Up & Fight!』とシャウト
した時には本当に驚いた。嬉しかった。神戸でのライヴレポートを
元春への伝言で送ったのだが、それに対するメッセージ?

●ボリビア−野性的で冴えてる連中
           〜from【ナポレオンフィッシュと泳ぐ日】

「すべてがここで終わるはずないのさ
 すべてが終わりなわけじゃないのさ」とシャウトする元春。
まだ野生的ではない状態の俺には少々堪えたな。でも大丈夫さ。メ
ッセージは十分に受け取らせえてもらった。俺はくたばりはしない。

●ブルーの見解 〜from【ナポレオンフィッシュと泳ぐ日】

とにかくファンキーなアレンジのスローな演奏と元春の朗読であっ
た。拓ちゃんのサキソフォンのリードが素晴らしい。コロちゃんの
ギターソロがアクセントをつけていた。
「奴」って元春が言うたびに俺の頭にはいろいろな人物が浮かんだ。

●Doctor 〜from【ザ・バーン】

神戸で聴いた時には、「おれは最低」状態で参加したので、とても
重い、ヘビーな感じで涙腺が緩んだのだが、今回は違った。不思議
ではあるが、乗りのいいポップなナンバーという印象が残っている。
神戸に参加しなかったら、きっと違う印象を受けていたと思う。
途中の間奏でKYONの長いピアノソロがあったのだが、その時に
元春はKYONのところに行き、KYONの演奏を覗き込んでいた。
KYONはそれに応えようとしたのか、何とも表現しがたい爆裂ピ
アノマンに変身していた(笑)。このシーンは最高に楽しかったな。

さて、演奏が終わると見せかけて、実は何度かのエンディングがあ
るのだが、ここでは佐野さんと1名のHKBを除くメンバーによる
ドッキリ大作戦が用意されていたのだ。元春はエンディングの際に
右手で「ジャンジャン・・・」の回数をHKBのメンバーに示すの
だけど、最後に「4本の指」が終わりの回数という取り決めがあっ
たのであろう。何故か3回の「ジャンジャンジャン」で曲は終わっ
たのだが、1名だけ4回やってしまったメンバーがいた。その音は
「ベース」であった。佐野さんとトミーを除くHKBのメンバーが
トミーを見て笑っている。トミーは「えっ?」という顔をしていた。
会場は大爆笑。トミーさん、まんまとはめられたね(笑)。その理由
は次の曲の前の佐野さんのMCで明らかになる。

●どしゃ降り(井上富雄ソロ)

ここで、ローディさんが椅子と踏み台を佐野さんのマイクの前に持
ってくる。佐野さんはギターを持ってMC(一人漫才?)を始める。
『HKBのメンバーの中で九州で生まれたミュージシャンがいるの
を知っているよね。僕が一番はじめに彼のことを知ったのは、音楽
雑誌の中だった。僕がデビューした1980年に、ある音楽雑誌を
見ていたら、そこにルースターズというバンドが載っていた。そし
てそのルースターズの面々を見ていると髪がこんな風』(元春は両
手のひらで両耳にあてて手を上に上げる仕草をする)『で、あぁ、
これは住む世界が違うなぁと思って、そのままページを閉じてしま
ったんだ。それから何年かして彼と一緒にバンドをやるなんて夢に
も思わなかった。みんな彼のことを僕よりよく知っていると思うけ
ど紹介します。ベース!井上富雄!!』(会場大歓声)
ここで紹介されたトミーは、自分のマイクの前に行き、何か挨拶し
ようとしていたが・・・。佐野さんはマイペースでお構いなしに再
び喋りだした。『最近、彼は・・・』(会場大受け)トミーは苦笑
いの様子だったな。『ルースターズの面々とロックンロール・ジプ
シーズというバンドを再結成したんだ。2日で1枚のアルバムを作
ったと聞いてビックリしている。僕は2年もかかっているというの
に・・・。反省している。』(会場大爆笑)
『そして、さらにすごいのは明日、井上富雄のバースディなんだ。』
(会場大歓声)『いろいろなことを考えた。寝ずに考えた。今夜、
九州のみんなの前で彼の歌を聴いてもらいたい。』(会場大歓声)
『ちょっと前に出したアルバムの中から1曲聴いてください。』
『曲のタイトルは、「どしゃ降り」。』

まさか、ここ福岡でトミーの生歌を聴けるなんて思ってもいなかっ
たので本当に嬉しかった。佐野さんとHKBの皆さんの粋な計らい
にも心が暖ったかくなった。トミーのベースソロの歌も最高に素晴
らしかったし、サポート演奏する佐野さんとHKBも流石だな。

「井上富雄さん、42回目の誕生日おめでとうございます!」

トミーは「バンドでベーシストは目立ってはいけない、ベースの音
が目立たないといけない」という信念を持っているようだが、今日
だけは目立って欲しかったのでとても嬉しかった。

●SUNDAY MORNING BLUE 〜from【ビジターズ】

アルバム「ビジターズ」からの5曲目のナンバーであった。
『今から20年前に僕はニューヨークに渡り、アルバム「ビジター
ズ」を作りました。今回のTHE MILK JAM TOURではその中の何曲かを
聴いてもらっています。よかったら座って聴いてください。』
『SUNDAY MORNING BLUE。』
前回の神戸で聴いたときには、この曲の途中で泣いてしまったが、
佐野さんの面白いMCとトミーの歌を聴いた後なので、最後まで泣
くことはなく、歌詞の内容を噛みしめながらじっくりとせつないバ
ラードに身を任せた。本当にいい曲である。
「世界はこのまま何も変わらない 君がいなくても
 世界はこのまま何も変わらない 君がいなければぁ〜↑・・・」
俺は絶対に"後者"になる。心からそう思った。

●TONIGHT 〜from【ビジターズ】

アルバム「ビジターズ」からの6曲目のナンバーであった。あと2
曲でアルバム「ビジターズ」制覇だと、益々期待が膨らんだ。
他の「ビジターズ」の曲はオリジナルのアレンジであるが、この曲
だけは、アコースティックなアレンジがされていて、とても切ない
感じであるが、このアレンジが大好きである。"カモメ"のような拓
ちゃんのサキソフォンが素晴らしかった。

●C'mon 〜from【Stones and Eggs】

アルバム「Stones and Eggs」から唯一演奏された曲である。
『Stand Up!』と観客に立ち上がることを促す元春。そして、
『はかた〜!』と古田さんが絶叫して演奏が始まった。
同ツアーにおいて3会場で生で聴いたし、神戸でも聴いたが、今回
はアレンジがスカな感じに変更されていた。拓ちゃんはリズムに合
わせて「指ぱっちん」をしている。KYONはThe Barnツアーでも
見せた「糸巻きぐるぐる」の仕草をしていた。
歌詞が変えられていた部分がある。「まともでいることがつらいと
きもあるだろう、まともでいられずに辛いときはどうしてる↑〜?」
HKBの皆さんは最初からマラカスを振っていたよね。
世界中がおかしな状況下なので、元春から発せられる言葉達がとて
もリアルに心に響いてきた。

●ブロンズの山羊
     (新曲・Be my brother、Be my sisterのフレーズあり)
                  〜from【ニューアルバム】

今までキーボードに徹していたKYONが見覚えのあるギターを持
って始まったこの曲。神戸でも演奏された曲だ。KYONとコロち
ゃんとのギターバトルが印象的だった。歌詞には「ウー・ラララ」
があった。佐野さんが「シャ・ラララ」と口ずさむときと同様に気
持ちが良くなるポップなナンバーであった。
シングルでもいいから早く聴きたいものだ。

●NIGHT LIFE〜メンバー紹介 〜from【ハートビート】

アルバム「ハートビート」から唯一演奏された曲である。
『どうもありがとう。ナイト・ライフ!』というMCで始まった
「I love the Night Life」が「We love the Night Life」 に変
更されている。今回のツアーのハイライトだと思う。事実、演奏時
間が一番長い。一通りの演奏を終えた後に、1曲目の「ホーボーキ
ングバンドのテーマ'03(仮称)」になり、佐野さんのMCがある。
『ここでTHE HKBのメンバー紹介をしたいんだ!』
紹介されたメンバーは各々の持ち楽器のソロ演奏で観客にアピール
していく。順を追うと、
『ギター、佐橋"コロちゃん"!』
いうまでもなく俺的には日本一のギタリストであり、いつ聴いても
コロちゃんのギタープレイには魅了される。続いて、
『そしてみんなの兄弟、ベース、井上富雄!』
地味ではあるが。彼の重厚な正確なBassの音があってこそのHKB
サウンドである。
『そして、エニーキーボーズ、ドクターKYON!』
神戸に続いてKYONが仕込んだのだろうけど、キーボードの音ご
とに「KYONの声?」を割り当てていた。だからKYONがキー
ボードを弾く度に不思議な、悪い言い方をすれば「変な歌」に聴こ
えてとても楽しかった。最後に、尾崎清世彦の「また逢う日まで」
のサビの部分が演奏された。
『そして、サキソフォン、拓ちゃん!』
またしてもフルネームで紹介しなかったなぁ(笑)。それくらい彼は
HKBの欠かせないメンバーとして認められて可愛がられているの
だろう。しかし、今回のツアーでの拓ちゃんは、目立つ目立つ、
動く動く、歌う歌う(笑)。拓ちゃんのソロの時に元春は『パーティ、
パーティ』とシャウトしていた。拓ちゃんには以前よりHKBの一
員になって欲しかったので、本当に嬉しい。やはり佐野元春の音楽
にはサキソフォンは欠かせないと思う。
『そして最後に、彼とは20年、いやもっと前から一緒に過ごして
いる。僕の背がこれくらいの時(佐野さんの身長が仮に165cmだ
とすると手で示している高さは135cmくらい)、彼はこれくらい
だった(手で示している高さは105cmくらい。おいおい元春)』
(佐野さんの爆裂トークと誇大表現に会場大爆笑)
『ドラムス、古田"マイティ"たかし!』
神戸では初日ということでちょっと長めのドラムソロをやってくれ
たんだが、今日も迫力満点の長めのドラムソロだった。
元春の紹介はKYONがやるのかなぁと思ったけど、行われなかっ
たのが残念である。メンバー紹介が終わったあと、元春は、
『シェイク、シェイク、カモン!』と観客をあおる。シェイクに合
わせて、コロちゃんとKYONは、イヤミの「シェー」のポーズを
していた。俺も真似したよ(笑)。
そして、暫くして、元春と古田さんを除くHKBのメンバーとロー
ディさんが白い看板を持って何度も折り返している。書かれている
のは「SHAKE」「シェイク」「ご一緒に」という文字である。
元春は『Shakin' Shakin' Shakin'(振り回せ)C'mon』というフレ
ーズを叫びながら観客にも同じフレーズの返しを要求する。今回の
ツアー名には「MILK」と「JAM」 という言葉が含まれている。この
2つの言葉が何を例えているのかは俺にはなんとなく解るような気
がする。「とにかく"君の抱えたそれ"をシェイクしろ!」っと。

●彼女はデリケート 〜from【ナイアガラトライアングル vol.1】

『ダンス!』と元春がシャウトして曲が始まった。
この曲がFMラジオから流れていたのがきっかけで、佐野元春に出
会った。20年前に聴いたときの衝撃は今でも忘れることはできな
い。何度聴いてもいいものだ。長めのイントロが続く。拓ちゃんの
サキソフォンのリードで、やっと歌が始まる。
「どんな奴でも1つくらいは人に言えない秘密を持っているのさ」
「And it makes me down(それは俺をがっかりさせる)」と佐野さ
んは言うが、「カモン・カモン・・ベイビー」とも言ってくれる。
佐野さん、いつでもどこでも俺は"訪問"しに行くぜ!彼女だけでな
く俺もデリケートなんだ(汗)。

●そこにいてくれてありがとう 〜from【フルーツ】

アルバム「フルーツ」からの唯一演奏された曲である。
「さよなら こんにちは そこにいてくれてありがとう 光(風)
の行く手に歩いて行けばいい」と歌う元春。原曲では「R・D・レ
インに捧ぐ」ということになっているが、今日ばかりは福岡に集ま
って("訪問"して)くれた観客に対してのお礼なのかな。でも、お礼
をいいたいのはこちらのほうだ。ステージにいてくれてありがとう。

この曲が終わると共に、ステージの後ろの壁の幕が上がり、白いス
クリーンが登場する。
『どうもありがとう』と佐野さんが言って、HKBのメンバーと共
にステージ左袖に去っていく。
会場の観客はアンコールを要求する拍手の嵐。神戸より凄い。

本編が終了したのは確か20時24分頃だと記憶している。照明が
落ちて、白いスクリーンにはステージ右からライトが何かのオブジ
ェを投影して「不思議な物体」が映し出される。神戸では周りでざ
わめきが起こり始めたが福岡ではなかった。俺はアンコールの拍手
をしながら、目を凝らして約5分の間、その物体を眺め続けていた。
人によって見え方は違うと思うが、私には複数の人の顔が見えた。

(アンコール1)--------------------------------------------
約5分の休息後に元春とHKBのメンバーが着替えをしてステージ
に再び登場した。元春は黒色のTシャツに着替えていた。

●NEW AGE 〜from【ビジターズ】

『どうもありがとう』と感謝する元春。
アルバム「ビジターズ」から7曲目である。「あと1曲でまるごと
セットリストになるなぁ」と正直、思った。期待は膨らんだ(笑)。
ツアー初日の神戸では演奏されなかったので素直に嬉しかった。
この曲は過去のほとんどのツアーで演奏されてきたが、HKBとし
て確立されたアレンジであった。
「数え切れない痛みのKISS」を退治していかなきゃなと思った。

●アンジェリーナ 〜from【バック・トゥ・ザ・ストリート】

本編が終わって楽屋に戻ったときに、おそらく別の曲を演奏する打
ち合わせをしたのであろう。NEW AGE が終わって、ステージから会
場の右の方を見た元春は、気が変わったのか?ドラムの古田さんの
ところに行き、何かを喋っている。マルチリードプレイヤーの拓ち
ゃんは???の状態。拓ちゃんは慌てて元春のところに行き、確認
をする。そして楽器を変える。コロちゃんとKYONには、口パク
で曲目が伝わったようだ。
『ヘイ、カモン、ワン、モア、ロックンロール!』と元春がシャウ
トしてこの曲の演奏が始まった。言うまでもなく、佐野元春のデビ
ュー曲である。会場のみんなも一体となって最高にはじけた瞬間で
あったと思う。

(アンコール2)--------------------------------------------
●Sail On(新曲) 〜from【ニューアルバム】

『どうもありがとう』今日、何回言ったかな?佐野さんの喋るこの
言葉は大好きである。俺は「Sail On!Sail On!」と叫んだ(笑)。
『また新しい曲を聴いてください。Sail On。』願いは通じた。

2年前の"Rock & Soul Review"ツアーで披露された新曲である。
MWSのネットでも期間限定で公開された曲でもある。俺にとっては、
「サムディ」に並ぶ名曲でもある。シングルとしてリリースして欲
しいという要望が多いにも関わらず、何故かライヴでしか聴くこと
ができない。実にもったいないよ、佐野さん!。
以前はキーボードを演奏しながらの唄であったが、今回はギターも
持たずにマイク1本で歌いきった。今回もローディさんによる「ゆ
りかごダンス」は行われなかったのが残念だな(笑)。俺の前の観客
は全員、歌の間は身体を左右に揺れ動かしていた。
「繰り返す言葉は、I love you.」何度聴いてもいい曲、歌詞だ。

●スターダスト・キッズ
    〜from【ノー・ダメージ(14のありふれたチャイム達)】

『もう一曲いこう』という佐野さんのMCで演奏が始まった。
「本当の真実がつかめるまで Carry on」、大好きなフレーズだ。
要は「どんな状況でもあきらめちゃいけない」ということだろう。
「I came for you.」そう、佐野元春 and The H.K.B.に会うために
ここにやって来たんだよ、「訪問」しに来たんだよ。

(20時52分終演)

佐野元春 and The Hobo King Bandの皆さんがステージ前に並ぶ。
『どうもありがとう』
佐野さんが、もう一度、メンバー紹介をする。時間オーバーを気に
していたのか?紹介が速かった(笑)。
『ギター、佐橋佳幸!』(会場拍手)
『ドラムス、古田"マイティ"たかし!』(会場拍手)
『エニィキーボーズ、ドクター・KYON!』(会場拍手)
『サキソフォン、拓ちゃん!』(会場拍手)
『そして最後に、そして最後に↑、そして最後に↑↑、
        ベース、井上富雄!!!』(会場大拍手)
そう、ハートランド時代にダディ柴田氏を紹介するときと同じやり
方で「みんなの兄弟」トミーを紹介してくれたんだ。嬉しかった。
『そして最後に福岡の皆さん!』
そして、なぜかトミーだけが「フルート」を手にしていた。他のメ
ンバーはわざとフルートを手にしなかったのである。当然、トミー
だけが目立つ目立つ。まんまとHKBの面々に仕掛けられたドッキ
リに引っかかったに違いない。佐野さんも「どうしてトミーだけが
持っているの?」といいたげな仕草で突っ込んでいた。ここでトミ
ーがフルートを吹いてくれたら最高だったのだが残念だ(笑)。
『The Hobo King Band!』と佐野さん口調で最後の挨拶をする。
佐野さんはライヴ終了の合図を示すマイクを客席に向けた。HKB
の面々も登場時に持参したフルートを忘れずに持って去っていった。
フルートを吹いて欲しかった。次の大阪なんばHatchに期待しよう。

それにしてもあっという間の充実した2時間11分であった。神戸
以上にダンスして、はじけて、汗びっしょりになった。会場を出た
俺は、持参したスポーツ飲料を一気に飲みほした。(余談であるが、
帰宅してから体重を量ったら2キロ減っていた・・・ラッキー!!)

1階13列46番の席であり、神戸と同じような位置でのライヴで
あった。このくらいの距離の方が全体がよく見渡せてよかった。音
響が不安だったが問題なくよかった。ライヴハウスのようなホール
だった気がする。ドラムの前に透明のガラスの仕切りがされていた。
元春の後ろ姿が反射して映り、古田さんの足にしがみついているよ
うに見えて、ライヴ中は妙におかしかった(笑)。佐野元春のライヴ
は、何回も観ても"何かを得る"ものがある。きっと性別、年齢に関
係なく参加している観客の皆さんも同じなんだろうと思う。

神戸と同じように、アルバム「バック・トゥ・ザ・ストリート」、
「サムデイ」「カフェ・ボヘミア」「タイム・アウト!」、
「スウィート16」「ザ・サークル」からは1曲も演奏されなかった。
佐野さんなりに意図があるのだろうが、深読みはやめておく。

それよりも、アルバム「ビジターズ」の全8曲から7曲も演奏され
たことが断然に嬉しい。今後は、大阪そして東京に遠征する予定な
ので、このときにでもビジターズ全曲を聴きたいものである。今こ
の時期に何故ビジターズ?という声もあるだろうが、19年前の人
生初めてのライヴが「ビジターズ・ツアー」であり、佐野元春の新
しい音楽に戸惑ってしまって正直、当時は楽しめなかった。でも、
20年近い時が流れた現在では、佐野さんの革新性のある音楽が間
違っていないことが痛いくらいに解るし、色あせることのないビー
トと歌詞が俺の心を「シェイク」させ「ロック」してしまう。そう、
20年近く経過して、初めてアルバム「ビジターズ」の曲を心から
楽しむことができたと感じている。どうもありがとう、佐野さん。

そして、できることならばアルバム「ビジターズ」のリリース20
周年を迎える来年にもニューアルバムとのカップリングで佐野元春
and The H.K.Bの演奏による「ビジターズ」カバーアルバムをリリ
ースして欲しいと心から願っている。ライヴ音源でも構いません。

そういえば、林ワタルさんが最前列でビデオ撮影をしていた。何か
楽器の演奏部分を中心に撮影していたような感じだった。ニューア
ルバムのリリース前にDVDをリリースしてくれないかな?

福岡市民会館を出た時には雨は降っていなかった。俺は21時11
分発の新幹線経由でソニックで大分に日帰りで戻る予定であったが、
終演時間が遅れた"嬉しい悲鳴"のおかげで、22時5分発のソニッ
クで大分に戻った。夕食をとっていなかったのと軽い脱水症状なの
か、電車の中で一時的に気分が悪くなった。そう、エネルギーの全
てを佐野さんのライヴで消費したせいであろう。大分駅に着くと、
日が変わっていた。外は雨であったが、俺の心は「カラっと晴れて」
いた。タクシーで自宅に着いたのは午前1時ちょうど。短く感じた
1日であった。福岡まで"訪問"して本当によかった。

佐野元春 and The Hobo King Band とスタッフの皆さん、そして福
岡に集まってライヴを盛り上げてくれた"訪問者"の皆さん、本当に
ありがとう。

福岡が終わっても俺の「THE MILK JAM TOUR '03」 はまだ終わって
いない。7月16日には大分から大阪に訪問して、なんばHatch で
2階席からライヴを楽しむ予定だ。17日は関西の観光をして、翌
日の18日には、大阪フェスティバルホールで幻の最終公演をボッ
クス席から楽しむ予定だ。19日には京都に移動して京都観光をし
て、夜にはサッカーの地元チームのアウェイゲームのサポーターと
して応援をする。そして最後に、そして最後に、そして最後に、
20日には、東京に移動して渋谷公会堂での最終公演を真ん中の4
列目で楽しむ予定だ。
そう、某プロ野球チームではないけど、「死のロード」ではなく、
「"楽しみ"のロード(訪問)」を5泊6日で敢行する(笑)。
今の俺はよくない状況だけど、20年間も自分の時間を惜しんでま
で働き続けた自分に対する褒美だと割り切っている。費用はかなり
高くつくけどね(笑)。
俺も頑張るから、佐野さんも早くニューアルバムをリリースしてく
ださい。そして、くれぐれも健康には気を遣ってください。
じゃぁ、またライヴ会場で。

P.S.
ライヴ中に携帯電話の電源をONにして何度も通話している女性が
近くに2名いた。明かりはステージだけなのに携帯電話の着信音と
暗闇での携帯電話の光は大迷惑だ。何をしにここに来たの?マナー
以前の問題だと思う。二度と、佐野さんのライヴには来ないでくれ!

(Beat goes on...)