佐野元春『今、何処』

評論 ─ 佐野元春 & ザ・コヨーテバンド『HAYABUSA JET I』『HAYABUSA JET I』を巡るテキスト

『HAYABUSA JET I』アルバムは『今、何処/WHERE ARE YOU NOW』の続編である

瀬戸山 悟

 音楽に限らず芸術全般について言えることですが、優れた作品に触れて即時、自分の考えたこと、或いは感じたことを言葉にすることは非常に困難です。ですから今回の『HAYABUSA JET I』について感想を述べることは、僕にとって時間が必要です(単に僕が鈍感だけですが)。

 但し、ひとつだけ言えることがあります。『HAYABUSA JET I』アルバムは『今、何処/WHERE ARE YOU NOW』の”続編”であると云うことです。つまり”現在の佐野元春”は、“2022年の佐野元春”と繋がっていることです。

 確固たる根拠はありません。しかし以前、配信のみで発表されたライブ・アルバム『2022 LIVE AT SENDAI, FUKUOKA, OSAKA』に収録の「銀の月」を聴いてそのように感じただけです。僕はこのライブ・ヴァージョンが好きです。佐野元春 & THE COYOTE BANDが新たな地平を踏みだしたのだと思わせます。

「銀の月」は、本来はこのヴァージョンではないのかと思わずにはいられません。前奏から宇宙の鳴動を感じます。この、オリジナルと比べて長大な前奏を聴くだけで、今回の『HAYABUSA JET I』に続いていくのだなと感じます。

 さて、それを再確認する為に、最新アルバムを味わうことにしますか。