'97.8.24 -2-
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文・写真:及川 毅
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15:19、楽屋裏マシンのデコレーション(?)は続く。今度は、日本経済新聞の「NIKKEI X」面に掲載されたインターネット中継に関する記事を張り出し、THIS! '97に関する記述の部分に囲み罫を入れている。だんだんと、怪しさが増してきた。
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15:24、遠藤がどこからか厚紙を調達してきて、何やらペンで書き物。良く見ると、赤ペンで「ひとさし指で指差し」の絵を描いている。勘の良い方はもうお判りだろうが、これも楽屋裏マシン用のデコレーションである。ごていねいに、うすく色までのせてある。が、きれいに見せるにはハサミで切り抜く必要がある。流石にハサミまでは持ち歩いていない遠藤が呼びかける。「ハサミなんて、持ってます?」「あ、あります」何でも持ってるMIPSメンバー。「ノリは……ないですよねえ」(笑)。ガムテープを丸めて張り合わせ、このままマシンに張り付けるかと思いきや、ハリガネを探しに楽屋裏へと消えた。そこまでやるか、そこまで。
15:32、遠藤、ハリガネを手に戻ってくる。何でも見つけるMIPSメンバー。
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15:38、楽屋裏に突如看護婦4名が現れ、一同驚きに沸く。といっても、彼女等はTHIS! '97の冠スポンサー、明治製菓のキャンペーンガールだ。入場客に試供品を配るだけでは飽きたらず、楽屋裏まで巡業である。のみならず本部室を訪問、MIPSメンバーに試供品を配り始める。ほぼ野郎所帯だけに、あまつさえ白衣だけに、みなどこか顔が緩んでいる。今野がしきりに自前のデジタルカメラでこの光景を撮影している、看護婦メインで。
さて、せっかくの訪問にはぜひ何かお礼をせねばなるまい。……かくして彼女らは一人づつ、楽屋裏カメラに向かって全世界に白衣姿を披露することになったのである。
15:49、佐野氏のマネージャー、松永さんが来室。チャットに参加する。そういえば今日は佐野氏の関係者があまり訪れていない。出番を控えると、なかなかそんな時間はとりづらいのかもしれない。
16:00、開場。昨日よりも男性客の比率が高いが、密度と熱気は昨日に負けず劣らずだ。MIPSメンバーの雰囲気は特に変わらない。2日目ということもあるだろうが、昨日ほど準備の気ぜわしさがないということも、この落ちつきの理由だろう。内心は若干の緊張もあるのだろうが。
16:11、香川が現場PAスタッフと真剣な顔で話し合っている。どうやら、先ほどのラインの音が割れぎみだという問題についてらしい。現場スタッフが言う。「リハーサル段階に言ってもらえれば変えられたんですけど……PAサイドでは、昨日と同じ状態な筈なんですよ。ただ、オペレートする人が変われば変わってるかも知れないし、ワンステップ上げてるかどうか、という問題ですね」。ここ本部室では、入ってくるライン入力の上げ下げしかできない。事態は深刻である。「佐野さんが怒ってる、って聞いた」香川が心配する。無理もない。昨日頻繁に本部室を訪れてサウンドチェックをしていた姿は、MIPSメンバーの誰もが知っている。まして、今日は当の本人の演奏なのだ。察するに余りある。
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