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 2月20日 SKYDRIVERS HIGH Vol.02
佐野元春ファン・アソシエーション 
mofa 編集部 山田和弘 



取材協力: M's factory

2004年2月20日、午後7時より中野サンプラザで行われた
堂島孝平のイベント「SKYDRIVERS HIGH Vol.02」に元春がゲスト出演した。


 このイベントは「70〜90年代のジャパニーズポップミュージックをリスペクトしつつ、21世紀の最新型POPSを紹介していこうという主旨」とのことである。昨年夏に初台で行われた「moment jam session#1」というイベントで2人が共演したことがきっかけで今回の元春の出演が決まったという。

 ステージ上のMCにおいては堂島孝平の、またバンドメンバーの元春への熱い思いが伝わってきた。堂島は「27年生きてきてよかった」「今みんながあややを好きなように僕にとっては佐野さんがアイドルなんだ」と語り、小学3年生のときにお父さんの運転する車のバックシートで「ワイルドハーツ」を聴いて衝撃を受けたという体験を披露すれば、ドラムの茂木欣一は高校生時代のバンドにおいて元春デビュー作から「VISOTORS」までの全曲を完全コピーしたとことを告白した。そういったエピソードを聞くたび、彼らとの距離は近くなった − なんだ、彼らも僕らと同じ「佐野元春ファン」なんだ。

 本日のゲストに敬意を表して、と言って堂島孝平バージョンの「スターダストキッズ」が披露された後、「最高のソングライター、パイオニア、愛しています、佐野元春!」という最大限の賛辞で堂島に迎えられた佐野元春は、キメていた。明らかにVISITORSを意識した帽子、ジャケット、パンツ・・・。深くかぶる帽子、あまり多くを語らず時折帽子のツバに手をやるしぐさもまたカッコいい。同じステージに立つ若手ミュージシャンの憧れの対象であるということを知った上で、いや、だからこそビシッとキメていたのだろう。

 元春は以前ツアーを一緒に回ったこともあるスカパラホーンズも従えて、「So Young」「ガラスのジェネレーション」、「ワイルドハーツ」を披露した。ヴォーカルは堂島と元春、交互に取る感じで、サビの部分の多くは2人で歌うという、まさに「競演」。比較的オリジナルに近い形で3曲が演奏された後、ホーンズによるイントロアレンジが魅力的な「99ブルース」、その後ドラムの茂木がリードボーカルを取った「Young Bloods」へと続いた。茂木は唄う前、「作られてから20年経った今この曲の歌詞を読み返してみても、時代に関係なく心に響くことに感激している」というコメントを残した。元春自身、近年インタビューなどにおいて「自分の持つ楽曲の生命力の強さ」に言及することが多く、その意味では熱烈なファンであり、また世代の違いこそあれ同じミュージシャンである茂木からのこの言葉はうれしい一言であったに違いない。

 演奏を終え、バンドを紹介し、帽子を振りながら退場した元春。再び登場したのはアンコール1曲目を終了したときだった。また「愛を込めて、佐野元春!」と紹介されて登場した元春は、先ほどまでとはまったく違う衣装で登場した。帽子もなく、黒っぽいセーターといったリラックスしたスタイル。

 前のMCで、堂島が「2日後が誕生日」であることを話していたことを聞いていたのか、元春は登場するなりマイクを取り、「♪ハッピーバースデートゥユー」と唄いだした。元春からの唄い出し、さらに観客をも巻き込んだこの大合唱に堂島は感激してステージを転がりまわっていた。その後ステージに伊藤銀次氏も登場し、元春がNYに行く前、ハートランドとして最後に参加したライブがこの中野サンプラザであることを語った。そして「SOMEDAY」「アンジェリーナ」を披露した。特に「アンジェリーナ」は圧巻だった。5人のギターが共鳴し、バンドの迫力が倍加しホールを包み込んでいた。この曲は観客に気持ちよくステージの終了を感じさせる説得力がある。今回のステージもいつものようにこの曲で心地よくファイナルを迎えた。

佐野元春に憧れていた世代がミュージシャンとなり、彼らが佐野元春と同じステージで当時の曲で競演するということ−これはすごいことだ。元春が第一線にて活躍していること。元春がその若手ミュージシャンを認めていること。当時の楽曲がいまだ強い生命力を保持し輝き続けていること・・・。すべての条件が満たされ、はじめてこのようなステージが成り立つ。
「僕らの世代に道を開いてくれた佐野元春さんに感謝したい」と堂島は言った。多くのミュージシャンが尊敬する「佐野元春」のファンであるということに僕らは誇りを持ちたい。そして元春を応援し続けるのはもちろんのこと、元春を尊敬している世代、いわゆる「元春チルドレン」たちが各方面で活躍する姿をこれからも注目したい。



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